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2016-01-22 [■Livre]

「レイシズムを解剖する―在日コリアンへの偏見とインターネット」
(高史明 勁草書房 2015)

ネット上に溢れる差別言表を栄養する、二つの保守的イデオロギーの縺れを俯瞰した本です。
二つの保守的イデオロギーとは、

1.「右翼的権威主義」
アドルノが考案した権威主義パーソナリティ概念をアルトマイヤーが発展させたもので、...
①権威者に盲目的に従う「権威主義的服従」
②権威者が攻撃するように支持した対象に対する、あるいは権威に背くものに対する「権威主義的攻撃」
③伝統と習慣に固執する「因習主義」
など。

2.「社会支配指向」
社会を競争の場と捉え、集団を「優れたー劣った」という次元で捉え、また格差の存在を是認するイデオロギー。

右翼的権威主義が、世界は危険だと考えこの脅威を回避するためには権威に従う必要があると考える文化的保守主義であるのに対して、社会支配指向は不平等を是認し競争的社会を支持する政治経済的保守主義である。
そのためこの二つは右翼的権威主義が「危険な外集団」(犯罪者、薬物使用者など)に対する偏見をよく予測するのに対して、社会支配指向は「軽蔑できる外集団」(身体的魅力のない人々、精神障害者、移民など)への偏見をよりよく予測する。


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■ピケティ「21世紀の資本」    juedi 5 fev, 2015 [■Livre]

ピケティの「21世紀の資本」読了。
豊富な資料で19世紀から21世紀の資本主義を俯瞰してみせる。初めに結論ありきの論法で、それに資料の数字を当てはめている。富がなぜ集中するのかを、時代、法律、社会から浮かび上がらせる。フーコーの「言葉と物」を初めとする作業、ブローデル「地中海」などフランス系譜学研究の流れがよくわかる。

富の集中は分かるが、資本の暴力性、貧困の解消は何も語られていない。

21世紀の資本

21世紀の資本

  • 作者: トマ・ピケティ
  • 出版社/メーカー: みすず書房
  • 発売日: 2014/12/09
  • メディア: 単行本


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■村上春樹   lundi 6 mai 2013 [■Livre]

村上春樹さんが、京都大学の河合隼雄物語賞・学芸賞の創設を記念した公開インタヴューで発言した。

先ごろ発表された『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』について、
「『文学的1
Q84』に比べ、文学的後退だと思う人がいるかもしれないが、僕にとっては新しい試みです」と発言しているが、初めて村上さんの作品を読む者にとって最悪の邂逅であった。小説を書き始めた大学生が、予定調和の展開に自分の考えを一つ一つ書き込んでいくような構造で少しも面白くない。

これでノーベル文学賞を受賞したら、安倍公房や三島由紀夫は言うに及ばず、井伏鱒二さんが受賞を辞退するつもりだったなんて逸話も吹き飛ぶなあ。個人的にはカズオ・イシグロを推したい。

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■内澤旬子 『飼い喰い』      lundi 14 mai 2012       [■Livre]

内澤旬子さんの『飼い喰い』(岩波書店)を読む。
自分で実際に3匹のブタを飼い、屠って食べる。現代日本でそう簡単にできることではないが、育てて自分で食うことは原初の感覚を呼び起こすのだろう。

もちろん畜産を通して現代社会の側面も垣間見れる。1年育てた豚がたった2万円でしかなく、養豚家が年々廃業しているというのは、TPPに参加し今以上に廉価な豚肉が入ってくることを思えば、食料自給など壊滅的なことだ。

そして一番重要な点は、人間が動物を屠っていることを隠蔽していることが差別を生み出していることであり、本書のように屠畜の場面を顕在化させることが意識の変換をもたらす作業としては必要なことだということを今一度認識させてくれたことだ。



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■『カムイ伝第1部』     vendredi 27 avril 2012 [■Livre]

白土三平『カムイ伝』第1部(小学館文庫)を読む。

高校生の時読んでから30年ぶりになる。未熟な僕は忍者漫画の延長と、被差別問題に対して好奇心があるのだぞという傲慢な知的優越感から読んだものだった。今回再読してみるとその時よりも強い憎悪と焦燥、そして敗北感を感じるのは、資本主義が如何に行き詰まり崩壊に瀕していようとも、既に世界が社会主義思想の否定・敗北という選択をしたことがあるし、ソビエト・ロシアの成立時点からの誤謬を指摘したところで最早どうにもならないという現実だろう。

「カムイ伝」の主人公は非人部落(実際は穢多集落)のカムイと下人百姓(のちに本百姓)の正助の二人であろうが、主人公を取り巻く百姓とは別に支配階級の武士の姿も多岐に描いている。また江戸時代の統治方法は、封建的な
<武士/百姓>の権力構図だけでなく、<百姓/穢多(穢多/非人関係も内包する)>の対立関係を隠蔽成立させることによって、支配の重層化を目指したことを漫画で表している。

儒教的封建制による農業社会の支配の形態と、現代社会の自制が効かなくなった新自由主義・資本主義の形態はまったく違った範疇にあると分析されようが、フクシマ以降の人間観を構築しようという観点からみれば類似点は見つかるだろう。<脱原発>の向こうにある思想状況はすべての権力を露呈し解体することから始まる。政治と経済と科学技術の三位一体が「原子力」を介在として癒着している向こう側にある構造を暴き、日本の権力を顕わにすることは3.11以降の人間観を形成する最大の問題である。そして最大のタブーとなろう。

「カムイ伝」の江戸幕府の隠蔽された最大のタブーは徳川家康は賤民だということだったが、現代権力の最大のタブーは何であり、そのシステムが如何に社会に弊害を齎し、人間観を貶めているか。誰も知っていて誰も言及できないからタブーであるのだ。

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2012-04-23 [■Livre]

三冊ほど本を買ってきた。さてどれから読もうか。

・安田武 『戦争体験』(朝文社 1994 初刊・未来社1963)
・内澤旬子 『飼い喰い 三匹の豚とわたし』(岩波書店 2012)
・大道寺将司 『棺一基 大道寺将司全句集』(太田出版 2012 辺見庸=序文・跋文)

  若きらの踏み出すさきの枯野かな

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2012-01-13 [■Livre]

山本義隆 『福島の原発事故をめぐって ― いくつか学び考えたこと』 (みすず書房 2011年8月) 読了

1992年11月29日「朝日新聞」朝刊一面からの引用
「日本の外交力の裏づけとして、核武装選択の可能性を捨ててしまわないほうがいい。〔核武装の〕保有能力は持つが、当面、政策として持たないという形でいく。そのためにもプルトニウムの蓄積と、ミサイルに転用できるロケット技術は開発しておかなければならない」(外務省幹部談話)


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●現在性      dimanche 4 sept, 2011 [■Livre]

恋を得し蛍 ためらひなく墜ちぬ        岡本眸
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■『困ってるひと』     mercredi 27 juillet 2011 [■Livre]

ネット上に掲載され、今もツイッターで1万人からフォローされている、大野更紗さんの『困ってるひと』(ポプラ社 2011)を読む。
筋膜炎脂肪織炎症候群(fasciitis-panniculitis syndrome)という難病で皮膚筋炎という病も併発し、毎日ステロイド20ミリグラム、内服薬30錠、数十種の一般薬を使用しても安静状態で、苦痛が続いているという。

そのうえ、国の難病指定の福祉政策の旧弊のもとで、一定の日数がたつと強制退院させられたり煩雑な手続きが要求される。そして例によって巨額の医療費、入院費が必要となる。

その二重苦(この著者なら、この単語の使用を許してくれるだろうか)で具体的に自殺を考えながら、エスプリでちょっとニンマリさせてくれる。どんな時でも笑いは知的でなければ生まれないのがよくわかる。といって、本当は余裕などないのであろうなあ


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困ってるひと

  • 作者: 大野 更紗
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2011/06/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


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●萩尾望都「柳の木」     lundi 11 juillet 2011 [■Livre]

萩尾望都さんの「柳の木」(『山へ行く』所収)を読む。
朝4時過ぎに寝ようとして、「柳の木」を読んでいなかったことを思い出し『山へ行く』を開く。所収の何作かをめくってモー様(僕らの年代はこう呼ぶのが正しい)の現在の一端を垣間見た気がし、満足でも不満でもない、それなりの想いが浮上した。

で、最後の「柳の木」を1ページ捲った刹那、あっ、僕はこれを読もうと思っていたんだと得心したが、最終3ページだけにある台詞を読んで涙が溢れてきた。幾年にも亘る喜びや悲しみを無音の世界で描き切りる。描かれているのは沈黙ではなく饒舌な生活の機微であり、笑や涙にあふれている日常なのだ。それを20ページの短篇に凝縮するでもなく淡々と描き、豊饒な生を表現してくれた。

内容、台詞に立ち入ることは避けることにする。どうか、書店で手に取って下さい。
東日本大震災で辛い経験をしている人たちが、数年後にこの作品に出逢えることを祈ります。

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山へ行く (flowers comicsシリーズここではない・どこか 1)

  • 作者: 萩尾 望都
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2007/06/26
  • メディア: コミック


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